高校入試

令和6(2024)年度の神奈川県入試社会。何が出題された?難易度は?解いてみての感想を率直に。

高校入試

こんにちは。この記事では、2024年度の神奈川県高校入試、社会の入試問題についてまとめていきます。
2024年度 神奈川県内公立高校入試 問題と解答 | カナロコ by 神奈川新聞

やや難化?

今年の問題は、個人的な感覚としてはやや難化という感じです。難しいとは言っても、平均点がべらぼうに低かった2018年や2019年ほどではないと思いますが。

比較的落ち着いていた2021年度以降の中で“普通”から“やや難”くらいの感触です。年々参照する資料が複雑になり、学力検査というより適性検査のようになっています。

今回はそこが少し複雑だったという感じがします。感覚的には2023年より解きづらさがありつつも、2020年度と同等かなという感じ。ところがその2年は平均点にあまり差がないので、代替そのくらいになるのではないかという気がしています。

こればかりは、データが出てみないとわからないですね。

合格者平均点(全日制)

2023年度:58.4点
2022年度:62.4点
2021年度:72.6点
2020年度:58.2点
2019年度:42.5点
2018年度:41.8点

公式発表

地理は知識+根本理解+読解力

地理分野で平均点が低そうなのは(ウ)です。まずBの国がどこなのかは特定できるようになっておきたいですね。フィリピンです。

宗教は最近かなり細かいところまで出ていて、三大宗教であるキリスト教、イスラム教、仏教に加えてヒンドゥー教については開祖とその教えをおさえなければいけません。

それにくわえて、分布もおさえておきたい知識です。ヨーロッパではキリスト教のどの宗派がどこに分布しているか、東南アジアも宗教がこまかく入り乱れているところなので整理が必要です。

【東南アジアの宗教】
大陸:仏教
島国:イスラム教
フィリピンはキリスト教

この覚え方で整理すると良いです。ただ、今回の問題では、「植民地支配にともなって布教された宗教」という記述があるので、「植民地支配していた国=ヨーロッパ=キリスト教だ!」と判断するのが正規ルートかもしれません。

(オ)は、「オセアニア州の国々は,アジア州の国々と結びつきを強めています」という部分を示す資料を選ぶという問題でした。

内容に関連する資料を適切に選ぶというのは、レポート作成や研究の際に必要な頭の使い方です。資料を正しく読み取る力はもちろん、上手に活用する力が求められています。

APECがどういうものであり、どのような経緯でできたのかを知識として知っておくことは求められました。

地理の大問である問1と問2は、それ以外の問題は知識としては標準的でした。計算が必要な問題がなかったのが、ラッキーだった人もいれば、得点源がなくなってしまったという人もいたかもしれません。

歴史は用語ではなく用語の説明を理解

神奈川県入試が、単なる知識を聞いてこないということは多くの人に知られています。問3の(ア)から徹底されています。

奈良時代の天皇が聖武天皇で、その宝物が眠るのが正倉院で、その時代の文化が天平文化だということは、多くの受験生が頭に叩き込んでいます。

ただ、その天平文化の問題なのに、天平文化という言葉はどこにもないんです。その代わりに選択肢には、「唐風の文化をも元にしながらも,日本の風土や生活に合わせてつくられた」という国風文化の説明文と、「西アジアやインドから中国にもたらされ,遣唐使が持ち帰った」という天平文化の説明が並んでいます。

問3(ウ)でも、承久の乱という用語は出てきませんが、「後鳥羽上皇に味方した貴族や武士の領地が,幕府に味方した東国の武士に与えられた」という説明が登場します。

塾用の教材で、良いものはたくさんありますし、市販教材でもよいものはあります。過去問も大切です。でも、最後にやりこむべきは教科書です。

わからなかった単元は教科書に戻って、周辺も読み込む。これを徹底しましょう。そうしないと、社会のン勉強をしていても入試では点が取れない受験生になってしまいます。

図表も含めて教科書を使い倒そう。

日本の領土については要注意

今回の入試では、日本の統治下におかれていた朝鮮や台湾についての出題がありました。どの時期にどこまでの範囲に日本の影響力があったのかを整理しておくことはとても大切です。

2024年度問4


2023年の入試でも、樺太千島交換条約、ポーツマス条約でのロシアとの国境についての問題が出題されていました。国際的な緊張が高まっている現在、歴史的な移り変わりと、今現在の領土問題にはアンテナを張っておきましょう。入試問題は世の中とつながっています。

2023年度問3

経済も根本理解が問われる

中3で習う公民も、用語の根本理解が問われています。(ア)は消費税についての根本理解が問われました。おそらく多くの受験生が消費税=間接税は頭に入っているでしょう。

ただ、それが今回のように言葉で書かれると難しいんですよね。間接税である消費税のお金の動きは以下の通りです。

【消費税のお金の動き】
家計→企業→政府

(ウ)では典型的な為替レートの問題が出題されました。2018年、2019年の問題がかなりいやらしい問題だったので、6年分の過去問を解いたときにきちんと理解できていたら大丈夫だったと思います。ここは何となくではいつまでたってもとれません。

(オ)は日本銀行による金融政策と、政府による財政政策の区別がついていれば問題なくクリアできたところです。区別がついていない人にとっては正解が絞れない問題でした。2022年度の追検査にも同じような問題が出ていたので、やはり追検査は有効だということがわかります。

政治分野は条文を読む練習を

政治分野でも神奈川入試はどんどん資料を使ってきます。時には選択肢そのものが憲法や法令の条文であることもあります。

公民の教科書を使って、固めの表現には慣れておきましょう。読めるようになれば、後は間違い探しです。国語の選択問題がものすごく簡単になって社会化に表れたようなものです。

教科書の主要な条文は読んでおくと、初見のものが出てきても対応できるようになっていきます。

あと、国際連盟関連のことは正確に頭に入れておく必要があります。常任理事国、拒否権について、総会の議決方法、近年出題が続いているのでマークしておく必要があります。

まさに適性検査の最終大問

受験生にとっての一日のラストが社会です。そのラストの大問がかなり細かいです。今年は(ア)で造山帯の位置を問われる問題が出ました。2019年には、アルプスヒマラヤ造山帯の位置を問われました。やはり過去問は大事です。

そんな知識問題もありますが、資料が多い問7は宝探しのようなとびとびの根拠を見つけて答えを出す、作業力重視の問題が出題されています。今年も(エ)はまさに適性検査でした。

これが唯一の配点5点問題です。こういう問題を誤解なく解き切れる受験生が求められているんですね。ほかの科目もそうですが、単なる知識では太刀打ちできない問題が並ぶのが神奈川県入試です。

入試のためだけに勉強するわけではないですが、社会を反映しているのが入試問題です。複数資料に圧倒されずに、時には計算も用いて丁寧に答えを出していく力が求められています。面倒くさいことを丁寧に取り組む姿勢を大切にしましょう。

まとめ

・やや難化
・根本理解必要だから難しい
・情報処理力重視の問7(エ)が配点5点
・領土問題、平和問題は近年頻出

今日から次の受験生のスタートです。まずは私たちが問題を分析して、次年度のカリキュラムと指導内容をもう一度考えるところから始めます。

新中3で塾を探していて、公立受験をしたいけど今から大手に入るのは怖い…という人は是非ご連絡ください。少人数制の集団で、1年後に向けて一緒に頑張りましょう!

受験生へ

ホタル塾の生徒には、今年は特色検査を受験する生徒はいませんでした。そのためこれにて2024年度の入試は終了。あとは28日の発表を待つのみです。

これを読んでいる人の中に、特色検査や面接が残っている人は、気持ちを切り替えて最後までやり切ってきてください。ひとまず一日目、お疲れさまでした。

5教科の学力検査で受験が終わったという人もお疲れさまでした。「今年は難化した」というつぶやきがXで流れていますね。実際のところは結果が出てみないとわかりません。

結果は誰にもわからないので、今日まで頑張った自分をねぎらって、今日はゆっくり休んでください。

そして、またすぐに高校に向けての勉強が始まります。この時期の過ごし方が本当に大事なんです。せっかく身につけた勉強の体力、知識、今までほどがつがつやる必要はないのでコンスタントに勉強を続けていきましょう。

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