神奈川県の公立高校入試には、追検査というものがあります。追検査は、感染症やその他当日のアクシデントなどで本試験を受けられない人のための5教科の検査です。
2023年の12月の記者発表資料で追検査の対象者はこのように書かれています。
| 月経随伴症状等の体調不良等の場合 新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ等の感染症に罹患した場合 自然災害や検査会場に向かう途中の事故・事件に巻き込まれた場合 痴漢の被害に遭った場合 等 |
ただ、代わりの試験が用意されているとはいえ、本試験と比べたときの難易度が大きく変化していると、受験生にとっての安心材料とはなりえません。
今回は教科ごとに2025(令和7)年度の神奈川県入試における追検査がどのような出題内容だったのかを見ていきます。ここでの難易度は、同年の本試験と比較したものです。
一個人の感覚なので、他の感覚を持つ人がいるかもしれませんがあしからず。(ちなみに追検査は平均点が出ませんので、解いた人それぞれの感覚でした難易度の判断はできません。)
英語
本試験との難度比較:同等
本試験と同様、2024年度入試ほどの難しさは見られませんでした。2024年度はとにかく長文が読みづらかった。「やりすぎだろ」という声も上がっていました。2025年度は長文は2023年度以前へと戻ったような感触。追検査も同じ印象です。ただ、決して取り組みやすいというわけではなく、難しい入試であることは間違えありません。リスニングにも言い換え表現が出題されましたし、長文でも本文の表現と選択肢の表現が違う、だけど言っている内容は正しい、という問題があります。単語文法をしっかりと覚えて、確実に理解できるまでに訓練しなければ自信をもって回答できません。
ちなみに文法も、取りやすい問題と少し難しい問題のバランスは同じでした。ただ、追検査の問4の(ア)は2022年度の入試を解いていれば既視感のある問題だったと思います。
国語
本試験との難度比較:やや難
国語も英語と同様に、2024年度に平均点が大きく下がり、難しくなった教科だと話題になりました。ただ、もともと平均点が高く、得点しやすかったのが国語です。
そこからもう一度解きやすくなったのが2025年度の本試験を解いての印象でした。おそらく平均点は2023年度と同等になるのではないでしょうか。
では追検査はどうだったかというと、それよりは少し難しくなっているという印象です。小説分の題材は若干読みづらくなっているかもしれません。というのも、登場人物が歌舞伎役者であり、名前や人物関係がやや頭に入りづらいものでした。ただ、偏差値55以上になればこの辺りはあまり問題にならないと思います。設問の解きやすさも同じくらいです。
「やや難」とした理由は論説文です。本試験も哲学的で読みづらい文章ではあったのですが、追検査も同じように抽象度の高い論説文でした。ただ、本試験は“SNS上での自己デザイン”という、中学生にも想像がしやすかったものだったのに対し、追検査で扱われた文章は“客観性を身に付ける過程”というイメージが難しいものでした。本文が難しく、読めてしまえば選択肢は選びやすいという構造は変わりません。
来年以降の受験生も、2024年度入試の論説文を基準に準備しておいた方がよさそうです。
数学
本試験との難度比較:難
本試験も昨年と比較すると難易度が高くなっていましたが、今年の追検査はそれよりも劇的に難易度が高かったです。
難とした理由は3つあります。1つ目は、とっかかりづらい図形問題が複数出題されていたこと。ただでさえ、正答率が低い図形問題で情報量が少ない問題が出題されていました。平面図形、空間図形問わず、難易度が高かったです。
2つ目は、関数(ウ)の問いです。問題文は以下の通りです。
| 直線①上に点Fを、三角形OCDと三角形ODFの面積が等しく、そのx座標が正となるようにとり、線分BFとx軸との交点をGとする。このときの、三角形ODFと三角形OFGの面積の比を最も簡単な整数の比で表すと、△ODF:△OFG= きく:け である。 |
この問題を例年のレベルで置き換えてみると、点Fのx座標を求めるところで問いが終わりますが、この問題はそこからさらに問題文が続いています。例年の問いよりも、一手先まで考えて答えを導き出さないといけませんでした。
3つ目は、確率問題が整理しづらい内容だったことです。除外できるパターンなどはありますが、一つ一つ確認をしていく必要があるので時間を要する内容だったことです。
この試験を50分間で最後まできちんと解き切るのは、まず不可能かと思います。数学が得意な人でも、厳しいレベルの内容でした。
理科
本試験との難度比較:やや難
理科は本試験と比較するとやや難としました。
問1(ア)は難問が出題されることが多いですが、この追検査では易しい問題が出題されていました。前半の問1~問4は本試験と同等くらいでしたが、後半の問5~問8に知識だけではどうにもならない、思考力が必要な問題が複数出題されていました。
表やグラフなどから読み取れる内容や実験や観察を経て得られる情報をもとに整理をしていかなければいけない問題でした。
習った知識ももちろん使いますが、そこから発展的な発想や資料の読み取り能力が必要だったため、やや難としました。
社会
本試験との難度比較:やや易
社会はやや易としました。理由としては3つです。1つ目は、苦手な人が多い時差の問題が出題されなかったこと。当然、追検査を受ける人は本試験の問題を見て、解いてから当日を迎えていると思います。時差の問題がなくて拍子抜けしたのではないでしょうか。
2つめの理由は、日本地理の雨温図です。本試験では、中央高地と瀬戸内の気候を比べる問題が出題されました。この二つの雨温図の比較が一番細かいのです。それが追検査になると、新潟(日本海側)・長野(中央高地)・静岡(太平洋側)という、まったく特徴が被らない3つが並んでいました。
3つ目は為替相場が出題されていないなど、公民分野の選択肢が比較的選びやすかったことですね。誤りの選択肢に、「のみ」「だけ」などのように怪しい表現が入っており、本試験の方が解いていて「いやだなぁ」と感じる問題の割合が多かったです。
おわりに
まとめてみていくと、数学が鬼のように難しかったということもあるので追検査の方がやや取りづらいといえるのでしょうか。
ただ、個々の受験生がどの強化でどのくらいの得点をとれるのかは変わってきます。5教科全体ではなく、教科ごとに難度を合わせてもらいたいのが本音ですよね。
例えば、英語が苦手で数学が得意な子にとっては英語が簡単になったとしても大きく得点が変わらないのに対し、数学では大打撃を受けることになります。
追検査の受検条件が緩和されたのでなおさら、本試験と追検査の難度調整は重要になっていくはずです。限りなく同等に作問されることを期待しつつ、実力を鍛え、自分でコントロール可能な範囲では万全な体調管理をしていくしかありません。
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