2023年(令和5年)神奈川県公立高校入試。国語の難易度、平均点は、傾向は?

高校入試

こんにちは。この記事では2023年(令和5年)の神奈川県公立高校入試の国語の問題について率直な感想を紹介していきます。緊張して迎えた2月14日の2教科目。どんな文章が出題されるかで取り組みやすさが大きく変わる国語は、問題用紙をめくるまでドキドキしたことでしょう。

入試終了直後の記事に加筆するかたちで、2023年6月に参加した入試問題分析セミナーの内容も踏まえて、2023年度の入試を振り返っていきます。

難易度

試験直後の感触

2月14日に僕が解いた感覚では、易化でした。それは生徒の自己採点答案からも明らかで、おそらく取り組みやすかったのだろうということがわかります。他の塾の先生がたの講評を見ていても、やはり平均点は上がりそうだということがわかります。

平均点

合格者平均点(全日制)

2023年度:75.1点
2022年度:61.3点

2021年度:65.7点
2020年度:69.1点
2019年度:59.1点
2018年度:65.6点

公式発表

県から改めて合格者平均点が公開されたのでまとめてみました。やはり大きく平均点が上がっていますね。

全体の講評

上に書いた通り、難易度は易化。平均点は14点近く上がっています。その理由は大きく二つあると考えられます。

・問三=論説文が読みやすくなった
・問五=資料読解が書きやすくなった。

この二つが大きな理由になりそうです。それでは、各大問ごとにどのような問題が出題されたのかを見ていきましょう。

出題内容

問一 漢字・俳句

簡単に各大問のトピックを見ていきます。

漢字は基本的には小学校で習う漢字が並んでいますが、中には少々難しいと感じる問題もありました。(ア)cの頒布(はんぷ)は難しかったと思います。

(ウ)の俳句の問題も、相変わらずの難度。やはり練習を重ねても二択から消せない選択肢があります。まずは切れ字表現技法に忠実に読んでいって、部分部分で区切りながら吟味していく解き方の定着が必要です。

また、開始数分のこの問題で躓くと、時間配分を考えたときに後半に響きます。どうしても決め切れないときには、一度保留にして問二以降にすすむ往生際の良さも試験で得点するには必要になります。

問二 小説文

久しぶりに読みやすい小説になったと感じました。やはり時代ものよりも、こういったなじみやすい物語のほうが、中学生も取り組みやすいのでしょう。選択肢も大半が本文から根拠を拾いやすいものでした。

出典『博士の長靴』

問三 論説文

論説文も読みやすい題材に変わったと感じます。昨年の、言語に関する論説文と比べると、「まなざしの固定化」がメインテーマであった今年の文章は、自分の周りの身近なことにおきかえて読み進めやすかったはずです。

設問はいくつか紛らわしいものがありましたが、それでも根拠が拾えない程ではありません。ここで落とさなかった人が、満点に近づくことができたのではないでしょうか。

出典『まなざしの革命』

ハナムラ チカヒロ 「まなざしの革命」 世界の見方は変えられる 

(2023.7.13加筆)
教材会社の方から、「今後もう一度国語の平均点が下がるとしたら、評論文が難解になった場合だろう。」というお話を伺いました。

ここ6年で平均点が一番低かった2019年の入試は、小説が抽象的になったことや漢字の読み(当時は選択式ではなく読みを解答用紙に書く型式)が難化の原因と考えられました。

その次に平均点が低かった2022年度入試は、資料読解の記述の形式が変わったこと(後述)と論説文が読みづらくなったことが理由と考えられます。言語論と呼ばれる、「言葉とは何か」を論じていく文章は、抽象的で取り組みづらいです。

もちろん、傾向があるので神奈川県入試の過去問で対策をしていくのが一番ですが、その傾向に慣れ過ぎていると、傾向変化したときに対応できない受験生になってしまいます。そもそも、高校生になっても勉強は続いていきますし、その先のゴールとしての大学入試もあります。できるだけ多くの難解な文章に触れておくことは、特に上位生にとっては大切だと思います。

他県の入試も、環境があれば練習に使ってみましょう。難解な論説文を出題する学校を並べてみました。また、学芸大附属などの国公立附属の高校入試もオススメです。

難解な論説文を出題する県

・埼玉県
・富山県
・千葉県
・東京都(自校作成)
・京都府 前期(堀川)
・大阪府C

問四 古文

出典は『平家物語』から。メジャーな古典から問題が出ることは神奈川県入試では珍しいのですが、教科書にも収録されている題材からの出典でした。

「やらかしたが広い心を持つエライ人には逆に感心された」というありがちなストーリー展開でした。神奈川県入試は選択肢が長いのが特徴的です。多少理解できない部分があっても、選択肢から物語の内容を読み進めるヒントをもらえることもあります。

古文は語注が多いですが、文章自体はものすごく簡単ということではありませんでした。複数登場する人物の関係を整理しながら読み進める訓練が必要です。時間がぎりぎりだと、焦って落としてしまう受験生も増えるところです。解く順番や時間配分も含めて、戦略的に試験に臨みましょう。

出典『平家物語』

問五 資料読解

(ア)の選択は絶対に落としてはいけない。過去問や模試でもここは毎回死守しましょう。

(イ)の記述は、指定語句が復活しました。かといってものすごく書きやすくなったというわけでもなさそうですが、正答率は前年比で5%ほど上がっています。

※ちなみに対検査の方では依然として指定語句は与えられていませんでした。次年度以降も油断は禁物です。

生徒の対話を読んでその要点を記述する形式の問題は出題され続けていますが、2022年度の入試からはあらたに、グラフなどの視覚資料に加えてもう一つのテキスト(文章)が資料として加わりました。

字数にして200字程度なので決して長い文章ではないのですが、新たに読まなければいけない文量が増えたのは受験生にとっては負担だと思います。

また、本文の量が増えたのではなく、資料として新たに別の文章が追加されたというのがポイントです。複数の文章を並行して読んでいく、いわゆる複線型読解です。大きな傾向変化のない神奈川県入試の国語ですが、この辺りで少しずつ大学入試共通テストの色を取り入れているといえます。

授業のときに繰り返し伝えますが、この形式の問題はグラフや資料がメインではありません。そのグラフのどこを見たらよいのか、何を読み取ればよいのかをナビゲートしてくれているAさんからDさんのセリフが肝です。ここからブレないように、丁寧に会話文の話の流れを追っていきましょう。

まとめ

今後、追検査なども解いて、県からの正答率の発表なども見たうえで改めて分析してみたいと思います。ひとまず、受験生の皆さんはお疲れさまでした。

新中2・3の人は入試問題に一度目を通してみることをお勧めします。その量の多さに圧倒されるはずです。敵を知ったうえで新年度をスタートさせましょう。

神奈川県入試はマーク式の回答が9割以上です。そのため、本文以外にも読むべき情報が多いのが特徴です。下級生の頃から、学校の教科書以外にも問題集などで、読解問題に触れることをおすすめします。

そして、読解の自分なりのルールを定めておくことも大切です。


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