国語の読解問題を解くとき、傍線部が出てきたらその場で設問を解くか?それとも本文をすべて読んでから設問を解くか。よく意見が分かれるところですし、受験生からの質問も毎年受けます。
今回はこのことについて、思うところを紹介していきます。
結論:どちらでもいい
結論、傍線部や空欄が出てくるたびに設問を解いてもいいですし、本文をすべて読み切ってから問題を解いてもよいです。
毎年、受験生から相談を受けたときにも、その生徒の考えを聞いて最終的には任せています。ちなみに私が入試問題を解くときには、傍線部が出てくるたびに問題を解いています。
これは、単純に自分がやりやすいからという理由です。その人が解きやすくて、入試当日に得点が伸びる可能性が少しでもある方法を選ぶべきだと思っています。
ただ、この「やりやすさ」にはそれなりの演習量、すなわち経験値が大切です。そのうえでメリットデメリットを実感して自分で選択すればよいのです。
※本当に迷っている人には、無難に本文全体を通して読み切ることを勧めています。
それぞれの方法のメリット
さて、次にそれぞれの方法の特徴を見ていきたいと思います。
■傍線部のたびに解く
メリット | デメリット |
傍線部の前後の情報を鮮明に覚えた状態で選択肢を吟味できる | 解答の根拠が後半にあった場合に正答を選ぶことが難しくなる |
傍線部が出てくるたびに設問を解くと、その傍線部の周辺に書かれた情報を読んですぐに選択肢を吟味することになります。選択肢の内容が似通っていて二択で迷う場合には、傍線部や空欄の前後の情報がしっかりと頭に入っている状態で解かないと自信をもって答えを出すのが難しくなります。
もちろん、本文を読み切ってから設問を解く場合にも、傍線部の周辺は熟読してから選択肢を吟味するのですが、傍線部が出てきてすぐに選択肢を吟味する方が時間短縮になる場合が多いと思います。
国語を解くときに、時間が足りなくなってしまう人で、二度目を読むのに時間がかかってしまうという人は、傍線や空欄が出てきたらその場で設問を処理する方法を試してみるといいかもしれません。
ただ、一点注意が必要なのは、本文全体の後半を読まないと回答ができないような問題もあるということです。
国語が得意でない人は、本文を通して読むことをオススメする理由の一つです。
2020年度の桐光学園高校で出題された小説文は、回想シーンから始まるもので、最後まで読まないと正しい選択肢を選べない問題でした。
■本文をすべて読み切って解く
メリット | デメリット |
本文の全体の内容を踏まえて解答できる | 解くときに傍線部周辺の情報を再度読み込む必要がある場合も |
難解な論説文になると、本文を読み進めていくうちに、具体例や設問の選択肢を頼りに本文の理解が進んでいくということもあります。
そのため、傍線部が出てきたタイミングでは理解できなかった設問が、本文全体を読んだ後に理解できるということもあります。
また、小説文でも時系列が前後しているものなど、本文を読み切らないと設問に答えられないものがあります。
そのため、国語に自信がない人には、まずは本文を通して読み切ってから設問を解くことをお勧めします。
さて、それぞれの方法の長所と短所を見てきました。箇条書きにまとめると以下の通りです。
・結論はどちらでもいい
・本文読解に自信がない人はまず通して読む
・時間配分に課題がある人は設問をクリアしながら読む方法も検討
・どちらでもいい(二回目)
・ただし、必ず量をこなす中で自分で両方試すこと
必ず自分で実証する
受験という、日本人の多くが経験する“通過儀礼”のような試験を通して、身に着けてほしいことの一つは仮説思考です。
自分の課題は○○だから、次は~してみよう。
この繰り返しで自分を鍛えていくのが勉強です。スポーツや将来の仕事にもつながります。
今回お話ししている国語の解き方も同じで、自分に合う方法は何なのかを、目的意識をもって試してみることが一番大切です。
読めるから解ける
考えながら量をこなしていく中で、解けるようになるためには読めないと始まらないと気が付きます。本文内容が理解できれば解けるし、読めなかったら得点は安定しません。
結局、本文を一文一文意味を理解して読んで、文と文のつながりをとらえながら、段落と段落のつながりをとらえながら読めるようになると、傍線部にかかわる設問の根拠が本文のどのあたりに書かれているかはわかるようになってきます。
そうすると、傍線部が出てくるたびに設問を解いても、素早く安定して得点していけるようになります。
簡単に書いていますが、これが難しいんですよね。これができる人は全県模試でいう偏差値60は越えてきます。
まずはここを超えるために、語彙力を鍛えることと、本文をしっかり読めるようにするためのトレーニングです。
授業では、とにかく文章を読むということに時間をかけます。
再度、結論
ということで、もう一度結論です。
・解く順番はどちらでもいい
・ただ、量をこなすことで自分で試すことが大事
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