先日、ホタル塾のスタッフ二人で、東海大相模高校の塾向け説明会に参加してきました。この記事では、そこで伺ったお話しや率直な感想を、塾講師目線でお伝えしていこうと思います。
校長先生が語るこれからの「相模らしさ」
会の冒頭では土井校長先生よりお話をいただきました。大きく三つに分けて東海大相模の特徴を語っていただきました。
学校の内容とは直接関係はないのですが、校長先生がかなり雰囲気のある方で、東海大グループの強さのようなものを感じました。お話しも短いのですがわかりやすく、やはり伝統ある私立の校長先生はすごいなと、勝手に恐れ入っていました。
付属校のメリットをフルに生かした教育
まず、東海大相模高校の一番の特徴は東海大学というマンモス大学の付属校である点でしょう。気になる内部進学についてはのちほど触れますが、多くの生徒が高校卒業後にそのまま東海大学に進みます。
近隣の桜美林高校や、麻布大附属高校は付属校・系列校でありながら積極的に他大学受験を薦めるのに対し、東海大相模高校はいわゆるエスカレーター式の進路に進む子が多くの割合を占めています。
賛否両論はもちろんありますが、受験がないというのは大きなメリットです。大学受験のことを考える必要がないため、文系理系に偏らずに幅広く学ぶことができます。
また、英語の実践や理科の実験など、時間のかかる学習も余裕をもって行われています。大学の研究室と連携した取り組みが行われているのも、付属校にしか出来ないことだと言えますね。
イメージと正反対の「主体性」
私自身、最寄り駅が小田急線の小田急相模原駅でして、東海大相模高校は小さい頃から馴染みのある学校です。いわゆる“地元の人”なわけですが、やはり東海大相模と聞くと、「部活」というイメージがついて回ります。
だからなのか、部活以外でも体育会系なイメージがあり、先生たちも厳しい印象が強いのが正直なところです。そのため、校長先生のお話しの中で「主体性」というワードが出てきたときには驚きました。「本当かな?」と。
実際、土井校長先生も「かつては『やれ』といわれたことをやる学校だった」とおっしゃっていました。ですが、校長先生の目指す、生徒の主体性を重視した教育を行っているそうで、その成果についてもうかがうことができました。
行事は生徒主体で、修学旅行では生徒が旅行会社と連携を取り、宿舎や見学先のルールも生徒が決めたもので動いているそうです。相模着任7年目、校長就任4年目の土井先生も、このポイントを力強くお話をされていました。
変わらない相模らしさは人間力
校長先生のお話しの中では、「相模ブランド」、「紳士淑女感」といった言葉が繰り返し出てきました。リニューアルして3年目を迎える制服にも、相模らしさと紳士淑女感をどうイメージするか、工夫を凝らしたというお話でした。
東海大学の建学の精神のも紹介していただきました。当塾が掲げる文武両道に通ずる部分を感じます。
若き日に 汝の思想を培え
若き日に 汝の体躯を養え
若き日に 汝の智能を磨け
若き日に 汝の希望を星につなげ
体躯(武)と智能(文)を追い求めた先に思想を培うことができる。
今までと変わらず、部活に強い相模でありながら、学業はより主体性を重んじて、生徒の考える力を養うものに変化していく。これからの東海大相模高校がどうなっていくのか、教育関係者としても、相模の“地元の人”としても楽しみにしています。
東海大学の付属であるということ
ここからは少し細かく、高校3年間の学習指導がどのような狙いで行われているのかを、東海大相模の先生方のお話をもとに見ていきます。同地域の他私立高校と比べたとき、大きな特色となるのはやはり、付属高校であるということです。
受験がないメリット
東海大相模高校の東海大学への内部進学率は、約80%です。多くの卒業生がそのまま東海大学に進みます。そのため、文理選択をして専攻によってクラスがわかれるのは高校3年生から。
大学受験を意識しないゆとりのあるカリキュラムで、課題解決型の授業も豊富に取り入れられています。
東海大学ネットワーク
東海大○○という名前の高校は日本全国に数多く存在ます。学園オリンピックという付属高校14校で行う行事も一つの特色です。
また、東海大相模は東海大学のメインキャンパス(湘南キャンパス)に一番近いという地理的な強みも活かして、大学との連携も盛んにおこなわれています。
実際に説明会の中で見せて頂いた写真で、大学の理工系の研究室で体験授業を受けている高校生のすがたを見ることができました。大学での学びは高校生にとって想像しづらいものなので、進路選択の際の大きなきっかけになると感じます。
ハワイのキャンパスへの中期留学も
上記のとおり、日本有数の総合大学である東海大学は、なんとハワイにも教育施設を持っています。ハワイ東海ナショナルカレッジ(HTIC)で、2カ月間の留学プログラムが用意されているそうです。高校3年時に希望者が参加できるもので、ニュージーランドでも同様に2カ月の留学を経験することが可能だそうです。
大学生でも、留学とはいえ1週間程度のものだったりするわけです。高校3年生の段階で2カ月ものあいだ、異文化に触れることができるというのは非常に大きな経験になります。このあたりは力のある私立高校のつよみだと言えます。
付属校は良いことばかりなのか
当然、付属校であることのメリットもあればデメリットもあります。良いところしかないなんて怪しすぎますね。というわけで、ここからは付属校を選ぶことによる懸念点と、東海大相模高校がそこをどうケアしているのかを見ていきます。
修学旅行が高校3年、文化祭では縁日でエンジョイ
東海大相模は、修学旅行が高校3年生のタイミングで実施されます。他の高校だと2年時にそういった一大イベントが行われることも少なくありません。3年時に大学受験勉強に専念しなくて良いことのメリットはこのあたりにもありそうです。
また、文化祭(建学祭)で高校3年生が中庭にテントで出店を出して縁日を楽しむ風景も、在校生の作った動画をながして説明していただきました。
繰り返しになりますが、大学受験を考えたら、高校3年生のタイミングでこれだけ楽しむのは、かなり高いレベルで自立している集団ではないとなかなか難しいです。行事には準備などにも相当の時間がかかります。
ここまで内部進学を前提にカリキュラムが設定されていると、いざ他大学受験をしたいとなった時にどういった対応をしてくれるのかが気になるところです。あれだけ学部学科の選択肢が多い東海大学があるとは言っても、歯学部・薬学部・獣医学部はないうえ、「○○大学でしかできないこと」ということも、レアケースではありますが存在します。
実際、高校3年生になってから外部受験を志した子の受験を担当したことがあります。進路指導やサポートはしてくれるものの、自分で情報を取りに行く力、周りに流されない強さが必要になるためかなりハードそうでした。
メリットデメリットは表裏一体なので考えすぎる必要はありませんが、周りでサポートする大人は頭の片隅に入れておいた方が良いことだと思います。
「中だるみ」という定番ワード
よく、中高一貫校や付属高校の懸念点として「中だるみ」というワードを耳にします。自分の進路がある程度約束されているため、そこに甘えて努力を怠ってしまうのではないかという話です。
相模の先生は「中だるみはあります」とはっきりおっしゃっていました。ただ、それをわかったうえでGTEC(英語4技能の外部試験)を年に1度受験するなど外部の検定試験を活用しているというお話しでした。
そもそも出口がある程度は決まっている(内部進学率=8割)環境で、何をもって中だるみとするかは難しい話だと感じます。高校入学時に、東海大学への進学が見えているというのが付属高校の大きな強みです。その環境に納得して入学し、実際に大学に進学できるのであれば、「本当ならここまで学力が上がったかもしれないのに…」という話にもなりづらいと感じます。
また、内部進学とは言っても全員が希望の学部に入れるわけではありません。高1からの成績も加味されて付属推薦が決まっていくので、緊張感をもって学び続ける環境は用意されています。
決められた環境の中で勉強を続けて一定の水準を超え続ければ進学できるので、中だるみはそこまで気にしなくて良いのでは…
内部進学はどうやって決まるのか
最後に、内部進学がどのように決まるのかを教えていただいたので、大枠のしくみの部分を見ていきます。付属推薦は高3の秋には決定します。
そこまでで、高1から高3の1学期までの成績に加えて、基礎学力定着度試験の点数をもとに、希望の学部学科に入れるかどうかが決まっていきます。
東海大学には、相模以外にも付属校が全国にあるため、その付属校の子たちの中での順位になります。
そのため規模の大きい競争になりますが、それでも相模生は7割が第1希望、8割が第2希望以上には進路が決まっているそうです。ここからも東海大学付属校の中でも、東海大相模という学校が高い水準で学習できているということがうかがえます。
では内部進学しない残りの20%はどうなるのか。
先生方のお話しだと、看護系の学部だけは希望者が多く、東海大学が用意できる枠を越えてしまうため、順位から漏れると他の看護学部や専門学校を受験することになるそうです。
あとは、スポーツなどで優秀な成績をおさめると他の大学から推薦の声がかかる場合もあります。全国レベルの部活が多い相模だからこその話ですが、そういった形で内部進学率が100%にはなっていないということです。
相模らしさとは
さて、ここまで東海大相模高校について、お話を伺った内容をお伝えしてきました。会の最後に先生からこのような話がありました。
よく保護者の方から、「うちの子が相模の体育祭や体育の授業についていけるか心配です」というお声をいただきます。たしかに部活動が盛んというイメージの強い学校ですが、体育の授業は体育の授業で体育祭は体育祭なので、その点についてはご安心ください。皆様の塾でも同様の不安を持たれている生徒さんや保護者の方がいらっしゃったら、是非伝えて頂ければと思います。
ふつう、わざわざこのような話はしません。他の方も同じように相模=部活というイメージを持っているのでしょう。実際、野球部の施設もすごいですし、体操競技部の活動風景も高校生とは思えないものです。他にも柔道部やラグビー部など、全国レベルの運動部もたくさんあります。
この「文武両道」、運動部が強いというイメージは相模らしさとしてこの先も続いていくと思います。ただ、もちろん運動部が全てではなく文化部の活動も盛んで、種類の多さはさすが私立高校です。
また、先ほど紹介した先生のお話しにもある通り、特別運動神経が良くないとなじめないということももちろんありません。これだけスポーツが盛んでもスポーツクラスは設置されていません。
学年12クラスにどの部活の子も、中等部からの内部進学者満遍なく在籍しています。外部からの「部活」のイメージが強すぎる部分もあるかもしれません。そのイメージもあってか、生徒指導も体育会系で部活以外でも厳しい先生が多いというイメージもある学校です。
卒業生に聞いた話ですが、伝統校であるがゆえに「相模生らしくしなさい」という指導をされる場合もあったそうです。オダサガに住む者としては相模という一つのブランドなので、「格好良いな」と思ってしまいますが、それをうっとうしいと感じる中高生がいるのも理解できます。
校長先生のお話しにあったように、時代の変化とともにそのあたりが少しずつ「生徒主体」に変わってきているそうです。それが新たな「相模らしさ」の一つになっていくとこれから先も地域住民の誇りであり、進路に迷う中学生にも選ばれる学校になっていくのだろうと思います。
そして、部活のことを一旦考えずに大学進学までを見据えて東海大相模を他の私立高校と比べたとき、大きな特色となるのは内部進学率です。県央地域から通える私立高校で、これだけの内部進学率を誇る高校はあまりありません。
上で述べた麻布大付属高校や、県央地区の向上高校も大学受験をするのが基本の進路です。高校受験で自分の進路を考えるときに付属校が自分に合っていると感じた場合、東海大相模高校は非常に魅力的な学校となるでしょう。
最後に
どの高校もそうですが、少しでも受験する可能性があるならまずは見に行くことをおすすめします。このような記事を読んで情報を集めるのも大切ですが、やはり自分の目で見て肌で雰囲気を感じるのが一番です。
東海大相模は、中学3年生向けには9月末から塾対象説明会を複数回実施しています。また、文化祭(建学祭)は一般公開されており、入試相談コーナーも設置されるそうです。こちらは特に予約が必要ないようで、低学年の生徒も見学可能です。
今後の感染症の状況で予定が変更となる可能性はあるようなので、HP(東海大学付属相模高等学校・中等部)のチェックは必須です。
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