2023(令和5)年度の神奈川県入試の社会。平均点、難易度、問題傾向はどうだったのか。

query_builder 2023/07/13
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こんにちは。ホタル塾文系担当の中島です。先日、教材会社さんが主催する入試分析セミナーに参加してきました。この記事では、主に社会の内容についてまとめていきます。

2023年度、社会の入試問題は?

全体的に

問題の形式は昨年と大きくは変わらずです。用語を記述する問題も消え、全ての設問がマークシート形式です。それでも一定の難度が保たれており、6択や8択など、選択肢が多いことも神奈川県の特徴と言えます。

また、資料が非常に多いのも特徴です。活用型問題と呼ばれるものですが、グラフや表から読み取ったことを中心に、知っていることと読み取った情報を使って解く問題が多くなっています。

分野は地理・歴史・公民から満遍なく出題されており、中1,2の頃の積み重ねも欠かせないということがわかります。

分野別割合

地理:31%
歴史:39%
公民:30%

合格者平均点(全日制)

2023年度:58.4点
2022年度:62.4点
2021年度:72.6点
2020年度:58.2点
2019年度:42.5点
2018年度:41.8点

公式発表

神奈川県入試の社会は、2018年と2019年がとにかく難しかった。2018年の受験生はびっくりしたはずです。当たり前ですが、傾向変化や大幅な難化も予告されることはありません。

そこから、2021年には大幅に平均点がアップ。
※コロナ禍の出題範囲の削減措置の年

感染者数ではまだまだ油断できないコロナですが、休校期間の影響も少しずつ薄れていきます。2022年度以降、徐々に平均点を下げるよう調整されると思われましたがそれも意外と緩やかで、以前と比べると解きやすい問題が多いです。

個人的には2020年度や2023年度のあたりがちょうどよい難度ではないかと思います。このくらいに落ち着いてくれると、対策した受験生がきちんと報われるのではないでしょうか。

今年以降の受験生は再び来るかもしれない問題の難化に備えて、対策していきましょう。

2大難化事件

2018年の社会難化事件、そして2014年の理科難化事件は、ただでさえ寒さで震える2月に、受験生や教育関係者を震え上がらせました。二度と起こらないでもらいたいですが、次にいつ同じような大幅な難化がおこるかは分かりません。他県入試も含めて、多くの問題に当たることが必要不可欠です。

出題内容

★出題内容
大問数:7問
小問数:33問
解答形式:マークシート形式 

 問1 世界地理
 問2 日本地理
 問3 歴史(近世以前)
 問4 歴史(近代以降)
 問5 公民(経済・政治)
 問6 公民(現代社会・国際社会・政治)
 問7 総合問題

トピック

問われる原理原則の理解

右上の図は国際連合の旗で、略地図はそれと同じ方法で書かれた世界地図です。神奈川県入試で正距方位図法は何度も出題されていますが、北極が中心というのは馴染みのない地図かもしれません。ですが、問われているのは地球という球体を平面に起こした地図に関する原理原則の根本理解です。

日付変更線を矢印の方向にまたぐと日付はどう変わるかという問題です。いつもは日本の右側(東)にある日付変更線が日本の左側に見えるようになっています。そのため、普段見ている地図とは逆なのですが、本初子午線を見つけて、どちらが西でどちらが東なのか地図に書き込んでいき、時差の問題の基本理解で解いていく問題です。試験中に問題用紙を180度回転させた受験生ももしかしたらいたかもしれませんね(笑)

ちなみに目新しい地図ではありますが、同じ2023年度の北海道の入試でも出題されています。また神奈川県入試でも2013年に出題されており、偶然だと思いますが10年ぶりの北極中心の正距方位図法となりました。また、2020年度の横浜市立南・サイエンスフロンティア中学の適性検査問題でも同様の問題が出題されています。私たち指導者が色々な問題に当たって幅を広げておくことも大事になりますね。

2013年神奈川県入試 問1

パターンではなく根本理解

課題解決力

上に紹介した2023年度入試の問1(エ)は近年の新傾向です。問題文には、このように書かれています。

Kさんは「ポルトガル語が,Bで示した年を首都とする国の公用語になった歴史的背景には,どのようなことがあるだろうか。」という学習課題を設定した。この学習課題を解決するための調査として最も適するものを,次の1~4の中から一つ選び,をの番号を答えなさい。

2023年神奈川県入試 社会 問1(エ)

これからの社会で活躍する人材になるための課題解決力を問う問題です。こういった問題をマークシート形式の中にも上手に組み込んできています。選択肢が知識として正しいかどうかではなく、問われていることに対して適切かどうか、で正解がきまります。

実は昨今の教育改革の“集大成”は令和7年(2025年)にやってきます。大学入試の共通テストの試作問題にもこのような課題解決型の問題は登場しています。

変わる大学入試

大学入試共通テスト、英語の試作問題では、自分の意見を書く文章にどういった資料を活用すればより根拠を持たせることができるかを考えさせる問題が出題されている。これからの流れは、持っている知識をどのように活用していくかに重きを置かれていることが表れている。
令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等 | 大学入試センター

文脈を把握し問われていることに答える

初見史料の読解力

高校入試ではメジャーな史料についての知識はあった方が良いものの、大学受験のような細かな史料問題対策は必要ありません。あくまでその場で読んで内容を理解し、知識と組み合わせて正答を導き出すという問題です。2023年度の入試では、戦後の史料が出題されました。

2023神奈川県入試問4(エ) 

ちなみに傍線部③は「自衛隊」です。また、「戦後日本の経済の回復~」などと書いてあることから、高度経済成長にまつわる選択肢1と3に絞りたいところです。

回復を通じての成長は終わったという表現に引っ張られて、3を選んでしまう受験生が多くいたと推測されます。回復(マイナスをゼロに)の段階から成長(よりプラスへ)の段階に移り、「もはや『戦後』ではない」と書かれたという史料です。

これもまた、選択肢に知識的な間違いはありません。聞かれていることに適する歴史的事実を選ぶ問題です。流し読みではなく、丁寧な読解が求められました。

グラフ・表が膨大にあり、割合の計算なども必須となっている神奈川県入試の社会では、時間配分に気を使わないと50分で解ききれないこともあり得ます。

速く正確に読み、そして解く練習を積み重ねることが大切です。

学校での現代史の扱い

現実的な問題として、中学校の授業の進度ではこのあたりの単元はあっさりと終わってしまうことが少なくないようです。歴史の後半部分は授業時間数の関係で圧迫されて、扱いが薄くなってしまうと耳にします。今につながる大事な部分なので、もう少し深く扱えると良いのですが。今回の『経済白書』の史料も所見の受験生がいるのは悲しい気がします。。。

公民は実生活に結び付ける

公民は、今現在自分たちが生きている世の中のことを知る科目です。用語だけの理解では学ぶ意味がありません。入試問題が出題者からのメッセージだとすれば、神奈川県が私たちに訴えているのは、学んだ内容をいかに身のまわりのことに結び付けられているか、です。

いくつか例を見ていきます。

問5(オ)

2023年度神奈川県 問5(オ)

割合の計算が必要な問題でした。「公費」が税金のことだと捉えられないと迷ってしまいます。3つの文の正誤を判断しなければならない8択問題です。増税などの身近なニュースをどうとらえているかが問われますね。それにしても、表中の語句と選択肢の表現をずらすのは、常套手段ではありますが、意地悪ですね。。。

問6(エ)

2023年度神奈川県 問6(エ)

「連立政権」という言葉がわかっていても、それが「複数の与党で政権を担当すること」だと理解できていないと答えが出せない問題でした。ニュースで耳にする言葉を授業で学んで、一つ一つの言葉を結び付けながら理解していくことが大切です。

問7(エ)
日本を取り巻く国際環境についての出題でした。日米安全保障条約が資料として登場し、冷戦に関すること、核兵器に関することが選択肢に散りばめられています。

2022年はウクライナ関連のニュースが続いていました。おそらくそれを意識した問題でしょう。問4でも北方領土の境界線に関する問題が出題されました。

机の上での勉強だけでなく、学んだ知識を活かせる人間を育てたいというメッセージが強く表れていますね。

身のまわりのことに関心を持ち続ける

現代社会をないがしろにしない

2022年の入試では、「人間の安全保障」という単語が選択式で出題されました。今年は環境問題に対する国際社会の取り組みとして、「京都議定書」と「パリ協定」が出題されました。

いずれも、21世紀を生きる10代の子どもたちに問題意識を持ってもらいたい話題です。SDGsという言葉は多くの人が聞いたことがあると思います。国際社会がどのような方向に向かっていて、国が何を行い、地方自治体が、企業が何をしているのか、関心を持ち続けたいですね。

ここも学校の授業での扱いは手薄になってしまいがちな部分です。早め早めに学習していきましょう。

追検査は有効

神奈川県入試には、インフルエンザなどのやむを得ない理由で試験を受けられらなかった志願者のために追検査を実施しています。追検査は本試験同様の形式で難度も似ているため、練習にはもってこいです。令和4年度の追検査には「パリ協定」が選択肢の中に登場していました。過去の追検査までしっかり解いて、選択肢まで含めてよく見ておくと、神奈川県が何を問いたいのかが見えてくるかもしれません。

現代社会・国際社会の勉強で手を抜かない

まとめ

実際の問題の抜粋を見ながら、神奈川県入試についてみてきました。全てがマークシート式だからと言って決して簡単ではありません。計算も複雑で、選択肢は長く、数も多い。見なければいけないところはたくさんあります。

かつての入試のように、10分も20分も時間が余るなんてことは少ないはずです。入試当日は一日の最後の最後の教科で、身も心もボロボロかもしれません。それでも集中して取り組めるように訓練が必要です。神奈川県立中等教育学校の適性検査に近いような頭の使い方をする問題もあります。土台となる知識をつけたうえで、早く正確に情報処理する練習を重ねましょう。

知識をつけるときに使ってほしいのはやはり教科書です。とにかく教科書。過去問についている解答解説で理解しきれる中学生はほとんどいません。教科書を読みましょう。

覚えれば解ける社会は10年以上前の話です。「なぜ?」を大切に頑張っていきましょう。

とにかく教科書
速く正確に解く練習



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小学生は1学期も終盤に差し掛かります。夏休みは1学期の学習内容の総復習です。


中学生は定期試験が終わり、8月の全県模試まで予習と復習を繰り返しています。

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