先日、保護者の方からこのようなご質問をいただきました。
初めてお答えするような内容だったので、神奈川県の教育委員会や全県模試さんに電話して確認し、非常に勉強になりました。
「資料の整わない者」の入試について、わかったことをまとめていきます。
資料の整わない者とは?
そもそも、「資料の整わない者」とはどのような受験者を指すのでしょうか。県教委の職員の方には、「様々な方が該当する」と教えていただきました。(例:過年度卒業生)
また、特別な申請(長期欠席者の申請など)がなかったとしても、提出された調査書、要は中学校の評定に斜線となっている教科があれば、その受験者は「資料の整わない者」という扱いになるそうです。
様々なケースが考えられる「資料の整わない者」ですが、多くの人が気になっているのが学校に長期間行けていないという場合ではないでしょうか。
この記事では以降、中学校への出席日数が少ない受験生についての情報をまとめていきます。
選考手順の中の「資料の整わない者」
資料の整わない者の選考はどのように行われるのでしょうか。簡単に表すと以下の通りです。
①1次選考(募集定員の90%)
内申と学力検査(と、あれば特色検査)の得点を各高校の計算式で計算し、得点順に並べ替えて選考。式にするとこんな感じです。
②資料の整わない者の選考
「参考にできる資料を活用して、第1次選考合格者に相当する者であるかを判断し、適正に選考」する
「資料の整わない者」の選考は1次選考と2次選考の間に行われるんですね。
③2次選考(募集定員の10%)
ここまでに合格していない受験者を、学力検査の得点(と、あれば特色検査)と観点別評価を点数化したものを各学校の計算式で計算して点数を算出。定員のMAXまで合格者を決める。こちらも計算式にするとこんな感じ。
ちなみに、2次選考で観点別評価が揃っていない受験者は、「参考にできる資料 を活用して適正に選考」すると書かれています。
「志願のてびき」では、資料の整わない者の選考について1次選考と2次選考とで若干表記が異なります。これは県教委の方が教えてくれて気が付きました。
1次選考 | 資料の整わない者については、参考にできる資料を活用して、第1次選考合格者に相当する者であるかを判断し、適正に選考します。 |
2次選考 | 調査書の各教科における第3学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価を欠く者については、参考にできる資料を活用して適正に選考します。 |
「相当する者であるかを判断し」という文言が2次選考での説明には記載がありません。
2次選考における「資料の整わない者」は、高校内で行われる合否判定会議で総合的に話し合われ、最終的には校長判断となるという説明はいただきました。この辺りはあまり表には出てこない部分なのだろうと思います。
「資料の整わない者」の選抜
このあたりの部分は、選抜方法が明瞭な神奈川県入試には珍しく不透明になっています。その中でも県教委の職員の方から教えていただいた部分を紹介していきます。
長期欠席の申請をする場合
長期欠席の申請には二つの条件が必要です。
(1) 長期の欠席について病気などの特別な事情があること。
(2) 第2学年、第3学年のいずれかの学年、または両方の学年において、欠席日数等が出席しなければならない日数の3分の1以上であること。 |
申請書類(※)がありますが、中学校の先生と相談しながら作成すれば大丈夫です。書類は調査書と同様に中学校から志願先の高校に提出されます。
※「長期の欠席を理由とする選抜方法申請書」、「欠席状況証明書」、「長期の欠席を理由とする選抜方法の取扱申請書」
長期欠席の申請をする際、「長期の欠席を理由とする選抜方法の取扱申請書」の中で、学校の内申についての扱いを希望することができます。
内申を使うか使わないか、使うならどの時期の内申を使うかを選ぶことができるのです。(2年のだけ使う or 3年のだけ使う or 両方使わない)
実際にこの方法で神奈川県の公立高校受験を経験された保護者の方のブログがありまして、非常に参考になるので、ぜひご覧ください。
▶神奈川県「資料の整わない者としての選考」不登校に配慮した選考方法とは | ホームEDU
そうすると、資料として扱う内申と当日の学力検査の点数で合否が決まることになります。もちろん、2年・3年両方の内申を使用しない希望をした場合には、学力検査の点数をもとに判断がされることになります。
長期欠席の申請をしない場合
どちらかというと、しないというより、長期欠席の申請ができない場合の方が多いでしょうか。
欠席日数が出席すべき日数の3分の1を超えていないと、長期欠席の申請ができないことになっています。
その場合は内申の取り扱いについて希望が出せないということになってしまいます。
例えば、数学にだけ3がついていてその他の教科が斜線だとします。その場合には、1次選考で募集定員の90%にあたる合格者を決定し、その合格者を数学のみの内申と学力検査の点数で見て、「第1次選考合格者に相当する者であるかを判断し、適正に選考」するそうです。
あくまで参考になるものをはすべて使って、同じ状況になるように考慮するというお話でした。
頑張って学校に行ける日には行っていて、欠席日数が基準を満たしていない。しかし、出席できていない分、内申は低い…
こういった状況だとどうなるのか。モヤモヤが残りましたが、それでも「参考にできる資料をすべて使用して不利にならないように判断する」というお話でした。
長期欠席の申請書を作成できるかどうかは、高校側でなく中学校側のお話です。中学校の先生はこのあたり、厳密に処理なさるのでしょうか。それとも数日くらいなら何とか手続きしてもらえるのでしょうか。融通をきかせてもらうのはなんだか難しそうですね。。。
高校側で長期欠席の申請にあたる書類を再度精査するということはなさそうです。相談するなら中学校の担任、学年主任、校長先生ですね。
欠席日数がギリギリの場合などは、とにかく相談です。困ったときには相談しましょう。
先ほど紹介した、ホームEDUさんも高校の個別相談や、中学校の先生など、とにかくたくさん相談して、調べて調べていらっしゃいます。
特殊な事情がある場合はなかなか相談しづらいということもあるかもしれませんが、親身に相談に乗ってくれる人も多いということがわかりますね。
結局のところ、有利?不利?
長くなりましたが、まとめていきます。
学力検査の点数がしっかりとれるようにすれば合格できる制度なので、最後は実力勝負!という考え方でいくと制度上有利不利はない気もします。
今回、モヤモヤが残るのは欠席日数が基準に満たしていない場合です。当然、欠席日数が多いということは内申が低い場合が多いでしょう。内申に斜線と1や2が混在している場合には、合格から遠ざかってしまうのではないか、不安になりますよね。
そうなってくると、有利不利はないと言えるのか…
確かに2月の選考においては全受験者に公平になるようになっているのですが、そこまでの中学3年間には個別でいろいろな事情がありますから、公平とは言い切りづらいと、個人的には思います。
■参考資料
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