この記事では桐光学園を受験する神奈川県の中学3年生とその保護者の方に向けて、桐光学園高校の国語の入試問題の傾向と対策をまとめています。
相模原高校や大和高校、希望が丘高校、川和高校などの公立高校を第一志望としている方向けに書いているので、公立高校入試対策で間に合うのかという視点でも見ていきます。
大問ごとの傾向と対策
さっそく大問ごとの出題内容と傾向を見ていきましょう。市販されている過去問題集に収録されている過去6年分と、桐光学園の学校HPに公開されている第2回入試も最新年度から2年分を参照して、計8回分を解いての所感です。
各大問の詳細
大問一 漢字の書き取り
傾向
大問一は漢字の書き取りです。全5問で構成されており、配点は1問につき2点。やや難度の高い漢字が並んでいます。公立高校入試では読み取りで出題されるような熟語が書き取りで出題されるようなレベル感です。
レベルを感じられるように、2024年度入試で出題された漢字を確認しておきましょう。もう少し書きやすいものが並ぶ年度もあります。
※2020年度以前は論説文の大問の中で漢字が問われていました。
1 | 図書館に展示場をへいせつする |
2 | ひょうしょう状の授与 |
3 | この度はかんだいなご配慮を頂きありがとうございます。 |
4 | こみ上げる感情をせいぎょできない |
5 | 失敗の責任をてんかする |
対策
熟語が出題されることが多いので、漢字そのものが持つ意味を意識しながら、熟語の意味もあわせて学習することが大切です。漢検でいうと準2級前後です。また、晴耕雨読という四字熟語の「晴耕」が書かされるという問題もありました。幅広く語彙を増やしていくことが大切です。現代文キーワード集などで語彙を増やすのも一つの選択肢ですし、日頃から、遭遇した意味が分からない言葉を素通りせずに、一つ一つ調べていく習慣をつけていきましょう。
漢字は必ず5問出題されるので、準備を怠らずに臨みたいところですが、ここで時間をかけてしまうと大問二以降の読解問題を圧迫することになるので、どれだけ迷っても2分で終えることを目標にしたいです。理想は1分で大問一を終えることです。
大問二 論説文
傾向
大問二は論説文です。テーマは政治やデジタルデバイスの登場による社会の変化などの頻出のものが多いのですが、文章自体は大学入試レベルとなっており、難度が高いです。2021年度には“過去という時間”のとらえ方を論ずる、哲学的な文章が出題されました。
設問は年度、第1回・第2回によって形式が異なります。その文章の中で問われるべき箇所に適した出題形式の設問が用意されています。
対策
神奈川県入試と比べると問題文が長いので、素早く文章を読み進める力が求められます。そのためには、主張や具体例など、段落の関係を意識しながら読み進めることが必要になります。たとえ表現が難解で理解できない箇所があったとしても、解いているときには立ち止まらずに、前後のつながりや具体と抽象の関係などから本文を読み取るようにしましょう。難解な表現の理解は時間を測って解き終えた後の分析の時間に、解説を熟読しながら考えるようにすると良いです。
言葉の意味を問う問題が出題されることもあるので、漢字の対策同様に知らない表現の意味を調べる習慣をつけましょう。また、2024年度の問二は傍線は本文冒頭にひかれていたものの、選択肢は本文を最後まで読まないと選べないようになっており、本文を通しての要約のような選択肢になっていました。記述問題や空欄補充問題もあるため、先に設問を見て無駄な時間をかけずに解答していく必要があります。記述問題がある場合には20分弱かかる年もあります。
大問三 小説文
傾向
問3は小説文が出題されています。文章は受験生にとって登場人物の心情を想像するのが難しいような内容が多いです。家族が複雑な関係性から悩みを抱えるという内容が多いのが桐光学園高校の国語、大問三の特徴です。ただ、設問は平易なものが多く、選択肢に紛らわしさはあまりありません。年度によって記述問題が一題入ることが多いです。こちらも大問二の論説文と同様に、設問に決まった形式があるわけではないため、解き始める前に設問形式を確認することが必要です。
対策
文章自体は長いので、スピーディーに読み進めることが求められます。上に書いた通り、桐光学園で出題される小説文中の登場人物と同じ境遇を味わう受験生は多くないはずです。その中で登場人物の心情をつかんでいくために、心情表現・会話文・表情や行動・情景描写などに着目しながら読み進めていきましょう。2023年度の第2回入試では、小説のタイトルが何を象徴しているか。という問題が記述で出題されました。本文を読めば、内容はわかるのですが、レベルの高い出題であることは間違えありません。選択式の問題はスピーディーに解き終えて、こういった記述問題に時間をかけましょう。
大問四 古典
傾向
桐光学園の国語では、古典の大問に古文と漢文が含まれます。〈甲〉の古文と〈乙〉の漢文に本文が分かれており、それぞれに設問がついています。この大問は古文と漢文が対応している融合問題となっていて、古文漢文にまたがって設問が出題されることもあります。ただ、見慣れない融合問題も、古文と漢文をそれぞれをしっかりと読めていれば問題なく解ける問題です。また、〈甲〉の古文と〈乙〉の漢文は同じ逸話や歴史上の出来事について述べている場合が多いため、現代語訳が完全に一致するわけではありませんが古文を読むことができると漢文の読解が楽になることが多いです。
対策
古文は公立高校入試の対策に加えて、古文単語と敬語の学習ができると解きやすくなります。収録語数のあまり多くないものでも、大学入試用の古文単語帳を見ておくと、解きやすくなることは間違えありません。ただ、公立高校入試向けの学習の中で、本文に出てきた表現にアンテナを張り、頻出の古文単語は暗記しながら学習を進めていれば、必ずしも追加の参考書は必要ありません。呼応の副詞や敬語表現、反語などの頻出の文法事項は、受験校にかかわらず入試対策として押さえておきましょう。
そのうえで、公立高校入試に出題のない漢文にどのように向き合うかが悩ましいところです。上に述べた通り、古文と漢文は内容が関連したものなので、古文が読めると漢文も解釈しやすくなります。漢文は書き下し文に直せば古文と同様の読み方で解釈できます。桐光学園の過去問に数多く触れながら、書き下し文にする練習を積み、漢文に慣れていきましょう。公立高校が第一志望で、2つ目の私立高校として桐光学園にチャレンジするという場合には、漢文の勉強は桐光学園の過去問のみでよいと思います。返り点をつける問題が必ず出題されるので、レ点、一二点、上中下点を完璧に使いこなせるようにしましょう。再読文字が出題されることが年度によってはあるため触れておきたいところですが、受験勉強計画の中での残り時間との相談になるでしょう。
目標点数と目標時間
個人差はありますが、目安となるように時間配分と各大問の目標点数を記しておきます。桐光学園高校はホームページに合格最低点などの入試データも公表してくれているので、そちらを参考に、国語で70点を目指すときの戦略をまとめていきます。※想定以上に失点しても合格ラインに乗るように高めに設定しています。
大問 | 目標点 | 目標時間 |
一 漢字の書き取り | 6点 | 2分 |
二 論説文 | 21点 | 20分 |
三 小説文 | 24点 | 17分 |
四 古典(古文・漢文) | 22点 | 10分 |
大問四が毎年問題数の割に配点が高いです。最後の大問に時間を残しておくことが、大量失点を避けるポイントです。過去問演習で時間配分を身に着け、本番の残り時間を意識しながら解き進めましょう。
上の図はあくまで参考なので、実際に過去問を解いて、各教科間の得意不得意の差や、得点の推移を見ながら戦略を立ててみてください。
求められている力
桐光学園の国語で合格ラインを超えるために、求められている力は大きく分けて二つです。
語彙力
大問一の漢字、難解な論説文、高校入試では触れることの少ない漢文、合格のカギとなるすべての設問にかかわるのが土台のなる語彙力です。冒頭にも書いた通り、漢字そのものが持つ意味を理解し、熟語で使われたときの意味にも注意しながら日頃の学習を進める必要があります。平均的な中学レベルよりも一段上の語彙レベルがあると全体的に国語の力が上がっていきます。
読解力
読解力。この言葉をさらに分解するなら読む力よりも解く力です。上にあげた語彙力を土台として本文を読んだうえで、年度によって異なる様々な設問に対応する力が求められます。ほとんど出題形式の変わらない英語とは異なり、毎年決まった形式がない桐光学園の国語には、決まったパターンでの解法では立ち向かえません。傍線前後の指示語や接続語に注意をし、段落ごとの関係性を基に筆者の主張を読み取っていく、丁寧な解法が求められます。王道の国語の回答力が求められています。読む力は言うまでもなく、難解は本文の中でも設問の要求にこたえていく解答力が問われています。
神奈川県対策で合格ラインを超えるか
この記事は神奈川県の公立中学校に通う中学生、およびその保護者の方向けに書いています。厚木高校や相模原高校、大和高校などの県立トップ校を受験しつつ、積極的に桐光学園などの難関私立の合格も勝ち取りたいという人向けの内容です。
そのためここでは、神奈川県の公立高校入試対策をメインで進めていく中で桐光学園高校の合格ラインを超えることは可能なのかという視点で見ています。
結論、英語や数学と同様に、神奈川県入試対策の範囲内で桐光学園の合格ボーダーを超えることは可能です。4択の選択問題が半数以上を占める桐光学園の入試問題は神奈川県入試への対策で培った得点力を発揮しやすい入試であることも理由の一つです。
もちろん、神奈川県入試で言えば2月の時点で、特徴的な記述問題のある問五をのぞく90点でほとんど失点しない実力がある前提での話です。
そのうえで、公立高校を第一志望として学習を進めながら、桐光学園の入試で合格ラインを超えるためには、記述問題への対応と大問四の古典での得点がカギになります。
記述対策
記述問題は、マークシート方式に移行した神奈川県入試にどっぷりつかっている受験生には難しく感じるかもしれません。ただ、桐光学園の入試の記述問題は、字数の縛りがあまり厳しくないため取り組みやすいものです。模範解答もすっきりと洗練されているものが多いため、書くべき必要最低限の内容をしっかりと組み込めば、得点が期待できます。過去問の中で繰り返し訓練していけば、十分に得点源になる問題です。
漢文対策
もう一つの問題は、漢文の対策をどこまで行うかということになります。上にも書いた通り、漢文は古文と対応しているものが多く、出題内容も返り点や書き下し文などの基本的なものが多いため、最小限の対策でも得点源になる可能性があります。こちらも、基本的な返り点のつけ方と書き下し文にする練習をマスターしたら過去問で経験値を積みましょう。
過去問
英語の記事でも紹介しましたが、桐光学園高校に合格するために大切なのは過去問の演習量です。以前、入試統括の先生にお話を伺ったところ、毎年、過去問を解けば解くほど点数が伸びて合格できたという生徒がいるというお話をきくことができました。
桐光学園高校の学校ホームページには過去の入試問題が非常に多く掲載されています。市販されているものよりも古い年度まで載っています。これは学校からのメッセージととらえていいでしょう。
桐光学園に入りたいという気持ちが強く、過去問に多く取り組んだ人が得点しやすい問題となっています。国語は文章によってさまざまな設問形式が見られます。ただ、大問ごとの時間配分に大きな変化はありません。第1回・第2回入試とあわせて、最新年度から順番に解き進めると良いと思います。
もちろん過去問だけでは受かりませんが、神奈川県入試の高得点を目指して勉強を続けてながら、論説文や小説文、古文の得点が安定してきた段階から、桐光学園の過去問を取り入れて、国語の勉強に負荷をかけていきましょう。神奈川県入試の得点もさらに高いレベルで安定する相乗効果も期待できます。
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