高校受験を控えた中学生やその保護者の方向けに、今回は市販されている過去問題集を比較していきます。本屋さんに行くと、例えば同じ「桜美林高校」の過去問題集でも、東京学参さんと声の教育社さんのものが並べておいてあることが多いです。(以下敬称略)
今回は同じ年度の同じ高校の過去問題集を、東京学参のものと声の教育社のものを購入し、比べて感じたことをまとめていきます。
書店に行って、どちらの過去問題集を買った方がよいのか、迷ってしまう人もいると思います。受験生はどちらか1冊を持っていれば十分なので、購入する際、この記事が参考になれば幸いです。
※それぞれの違いに基づく個人的なオススメはあるものの、どちらかに優劣があるわけではありませんのでご理解ください。
東京学参
東京学参の表紙は2024年度以前から大きく見た目が変わり、なんだかかわいげのある水色になりました。以前は少し重厚感のあるネイビーでした。なんだか見慣れないのですが、そのうち慣れるでしょう。いずれにしても、イメージカラーは青なんですね。
声の教育社
今回は桐光学園の入試問題で比較してみました。声の教育社の過去問の表紙は黄色です。こちらはもうずっと変わらずこの見た目という感じです。業界では「声教(こえきょう)」と呼ばれることもあります。
問題のレイアウトを比較
さて、まずは問題のレイアウトを比較していきます。ざっくり以下の通りです。
東京学参 | 声の教育社 |
印刷が濃くてはっきり、かなり黒々とした印字。 文字が小さめで余白が少なめ。ぎっしり詰まっている。 |
文字や図形、表などの印刷は少し大きめ。 全体的に余白があり、実際の入試問題に近いレイアウト。 |
どちらの過去問題集も実物から縮小され、ページ数の関係でレイアウトが変更されている箇所はあります。ただ、その中でも声の教育社の方がやや余裕があるかなという感じ。
印刷の濃さにも触れましたが、この辺りは完全に好みです。過去問題集は書店で見比べてから買ってください。
解答・解説を比較
次に、解説ページの比較していきます。解説は執筆した先生によって解き方や考え方が変わるので、内容は設問によって「しっくりくる」「ちょっと遠回り?」という好みの違いが出てくるでしょう。
今回はレイアウトや体裁について触れていきます。過去問を解くときに一番大切なのは、とき直しです。書店で見て解答解説が見やすいかは大きなポイントになります。このパートは一つずつ確認していきましょう。
■東京学参
+難易度分類マークがわかりやすい
+英語の文法の説明が細かい
+国語の設問の解説が細かい
-数学の解説に図形が少ない
東京学参の過去問題集には、解説ページにそれぞれの設問の難度が書かれています。正答率が公表されていないものもあるため、執筆者の感覚になる箇所もあると思いますが、それでも長年高校受験に携わっているプロが問題の難度を精査してくれています。とき直しにかける時間の優先順位を考えるときに役立ちます。
実際の東京学参の過去問題集から画像をお借りしました |
全体的に設問の解説が声の教育社のものに比べると細かい印象を受けます。文字数も多いです。そのため、じっくりと文章を読んで理解を深めることのできる高校受験生におススメできます。
ただ、一つ課題点として残るのは、数学の解説に図形がないというところです。図形やグラフの中のどこが相似でどこが合同なのかを、文章で説明してくれているので、図形が苦手な人や、文章を読みながら自分で理解を深めていくのが得意ではない人は使いづらいポイントだと思います。
■声の教育社
+国語の解説に本文の要約が書いてある
+英語長文の全文訳に番号が振ってある
+数学の解説に図形が付いている
声の教育社の解説は、一言で言ってしまうと、問題を理解しやすいことがメリットですね。
英語は長文の全文訳に番号が振られているので、一文一文自分で訳せなかった部分の表現を確認していくときに、文を見失わずに済みます。
また、国語は本文の要約が書かれているので、難しくて時間内に理解しきれなかった論説文も、改めてまとまった文章で理解しなおすことができます。シンプルに書かれていると、筆者の主張がつかみやすいですからね。
ただ、設問について、各選択肢の内容などの解説は東京学参の方が細かく書かれています。
そして、数学です。数学の解説が一番好みが分かれるポイントになるのではないでしょうか。解説中に図形があるので、解説文には「右の図の④を見ると」というように書かれています。ページをめくらなくても該当する図を見ながら解説を見比べることができるのが大きなメリットです。
万人受けするのが声の教育社。
じっくり文章とにらめっこできる人は東京学参。
両社を解説部分で比較して一言でまとめると、このように感じます。
その他、付属資料などを比較
さて、東京学参、声の教育社ともに老舗であり、過去問題集の出版社としては最大手です。問題と解説以外にも魅力があるので比較していきます。
東京 学参 |
声の 教育社 |
|
学校紹介 | ○ | ○ |
過去の出題傾向 | 5か年 | 3か年 |
次年度への対策 | ○ | ○ |
ちなみに、学校紹介や近年の入試傾向の分析は両方の過去問題集にしっかりと記載されていました。さらにプラスアルファの部分を見ていくと、付属資料の充実度は東京学参に軍配が上がりそうです。
東京学参の過去問の付属コンテンツ |
・最新年度の入試問題で合否を分けた可能性のある問題を各教科で紹介 ・掲載年度よりさらに古い年度の過去問がダウンロード可能 ・解答用紙のダウンロードが可能 ※解答用紙は東京学参・声の教育社ともに冊子本体にも収録あり |
過去問は多く触れられるに越したことはないので、さらに追加で解きたいときにネットからダウンロードすることができるのはうれしい特典です。
解答用紙については、東京学参も声の教育社も販売されている問題集の後ろの方についているので、コピーして使うことができます。
ただ、ネットでダウンロードしたものをコピーして使った方が黒い影が写ったりせずにきれいに印刷できます。過去問を本番さながらに時間を計って解くときのモチベーションにつながるところなので、ここもうれしいポイントです。
まとめ
さて、まとめていきます。最終的に購入する際には書店で見比べてほしいです。レイアウトなどは好みの問題も大きいですし、「何となくこっちの方が頑張れそう」という直感も大事にしてください。
そのときに、国語の問題文が著作権でカットされていないかどうかだけチェックできるといいですね。
そのうえで、結論どちらがおすすめなのかというと、個人的には声の教育社です。東京学参の付属資料も魅力的なのですが、解答解説が多くの人にとって取り組みやすいものだという点が大きなポイントです。
過去問題集のようにレベルの高いものを扱うときには学校の先生や、塾の先生のような指導者についてもらって学習を進めた方がいいです。ただそれでも、自分で解説を読んで理解できるところまでは自分で進めるという姿勢は不可欠です。
そうなったときには、立場上、「万人受けするかな…」という声の教育社のものがおススメですかね。
それでも、うえで書いた通り、じっくりと文章を読める人、できるだけ細かく解説を書いてほしいという人には東京学参も一押しです。最終的には、個人の好みの話になりますので、よく見比べて自分のフィーリングに合うものを選ぶようにしてください。
その時に、この記事が参考になると嬉しいです。
過去問題集を使い倒して、無事に受験を突破できることを祈ってます。
個人的に解くなら東京学参、生徒にすすめるなら声の教育社。本音はこんな感じです!
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