【高校訪問】昔とは違う、変化を続ける「今」の麻布大付属高校の魅力とは。

query_builder 2024/09/25
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JR横浜線の矢部駅・淵野辺駅が最寄りから徒歩圏内の私立高校、麻布大付属高校について紹介していきます。実際に学校を訪問して感じたことを記事にしていきます。



地域柄、受験校の候補に麻布大学付属高校が入る方は多いと思います。是非、まずは説明会に足を運んでみてください。

JR横浜線の矢部駅から少し歩くと見えてくる麻布大学のキャンパスに入ると、いきなり左側に馬が見えます。

獣医学部の麻布大学のイメージが強いですが、麻布大付属高校はどのような学校なのでしょうか。先生方のお話を伺っていて感じたことを率直にお伝えします。


麻布大付属はどんな学校?

かつての麻布のイメージ

皆さんは、麻布大附属と聞くとどのような学校イメージを持っていますか。上に書いたように、高校よりも獣医の麻布大という大学のイメージを強く持っている人も多いかもしれません。

・サッカー部が強い
・「麻布大淵野辺」じゃなかったっけ? 
・あんまりイメージがない

ほかにも、こんな感じの人も多いと思います。ですが、学校名も変わり多くの人が持っている学校のイメージとは変わってきています。近隣の方以外は、特徴がなくそもそもあまりイメージがないという方も多いかもしれません。

今回の記事では、変革を続ける今の麻布大附属高校をお伝えします。※サッカー部が熱心に活動しているのは今も変わりません。



変革のスタートは2014年度

麻布大付属高校は2014年に学校名が変わりました。それより前は麻布大付属淵野辺高校。体育会系コースというコースもあったので“サッカーの学校”というイメージが根強いのもうなずけます。

2014年度からコースも再設計し、なんと校歌も変えて再スタートしています。平成の終わり、麻布大付属高校は「選ばれない学校」だったと言っても過言ではありません。実際に、副校長の坪井先生がそうおっしゃっていました。

「選ばれる学校」になるために、少しずつ変化を続けてきて今の麻布大付属高校があるということです。それでは次に、どのように「選ばれる学校」に変わりつつあるのかを、先生方の説明と資料をもとに見ていきます。



急成長の進学実績

近年の大学進学実績

高校選びで大きなポイントの一つになるのは大学進学実績です。この点の近年の麻布大付属の伸びはすごいんです。

ここでは有名大学の進学実績について紹介します。

※有名大学=国公立・早慶上理・難関医歯薬獣医学部・GMARCH・成成明國武・東芝電工農北・日東駒専
数字には既卒生を含みます

上記大学合格者数
2020年 約250名
2021年 約250名
2022年 約450名 前年比 約1.8倍
2023年  674名 前年比 約1.5倍
2024年  438名


グラフで見せていただいたのでより分かりやすかったのですが、特に2021年以降ここ2年の実績の伸び方がすごいです。

現在、麻布大付属高校は3コース用意しており、習熟度が高い順に、S特進・特進・進学コースとなっています。S特進が設置されたのが2019年で、前年比で1.8倍の有名大学合格者が出ている2022年は、S特進コースの一期生でした。その姿を見た一学年下の子たちが頑張って、今年2023年の春に更に数字を伸ばしたということです。


上に、麻布大附属高校の改革は2014年に始まったと紹介しましたが、そのころの入学者の内申平均は5教科でオール4に満たないくらいでした。それがここ4年はオール4を超える数字となっています。入学者の学力層と進学実績がある程度落ち着いてきたといえるでしょうか。


よく中学生に話をしますが、進学先を選ぶということは自分が3年間身を置く環境を選ぶということです。「遠くの偉人より近くの先輩」です。自分のひと学年上、もう一つ上くらいの人と同じ進路を無意識に歩むのが中高生。

身近な先輩が上位の大学に行くと、「自分達も行ける」という空気が生まれます。だから、伸びる環境がそこにあるというのは非常に魅力的なわけです。




卒業生の入試講演会

麻布大付属高校では、毎年高校3年生が受験を終えると、一年後に受験を控える新高校3年生に向けて講演会を行うそうです。どのように勉強したか、どの時期には何の勉強をしていて、赤本はいつ頃からどれくらい解いたという話を、受験を終えて成功したばかりの先輩から新鮮な情報を聞くことができます。



そうすると、一気にスイッチが入ります。なかには「来年自分がこの講演会で話したい!」というモチベーションで頑張る子もいるようです。


また、進路指導部が作成している合格体験記の冊子も非常に手が込んでいて入試を戦いきった受験生の生の声が非常にリアルに乗っていました。


校内も見学させていただきましたが、模試の上位者掲示や偏差値換算表など、勉強に向かうモチベーションにつながるものがとても多いのが印象的でした。勉強を頑張りたいという子にはおススメの学校です。



狙ってMARCH合格者を出していく

綿密な進路指導。ここは私立ならではの圧倒的な手厚さがありました。太田先生というここ10年間の進路指導責任者を務めていらっしゃる先生からのお話を聴いて、「そりゃMARCH合格者増えるわ」と納得しました。太田先生が主導する進路指導はベネッセからも高い評価を受け、他校の先生向けのセミナーでも登壇されているそうです。



河合塾・ベネッセの模試の結果を一人一人分析して、どの大学を、どの入試方式で受けるとより希望の大学に入りやすいかを細かく検討して受験プランを提案しているということでした。


大学入試の一般受験だと、大きく分けて共通テスト利用全学部入試個別学部入試があります。全学部入試は各学部での合格者の枠が小さく、問題形式や難度も変わるため、私立第一志望の受験生には避けれらがちな傾向があるのですが、あえてそこを狙うことを提案することもあるそうです。


また、例えば心理学を勉強したい生徒には、教育学部の心理学コースと文学部の心理学コースのように、複数の可能性を提示して、少しでも可能性の高い受験プランを作成しているということでした。


全自動システムがあるのかと思いきや、最終的には進路指導チームで細かくチェックして受験校プランを一人一人に向けて作っているそうです。本当に骨の折れる作業だと思いますが、この綿密さがここ数年の麻布大附属の進学実績向上の下支えになっていると言えるでしょう。

『サンデー毎日』という雑誌には、どの大学にどの高校からの入学者が多いのかがランキング形式で掲載されます。2023年春の青山学院大学への入学者数は日本全国で81位、成城大学は日本全国で5位です。これも、学校側からすると狙い通りだそうです。

「成城大学の志望者が例年より少ないことがわかっていた。」

「青山学院は入試制度が複雑と言われていて、避けられがちだが積極的に狙うことで可能性はあるということを伝えていた。」

このように組織をあげて、実績を出せる環境を作っていく動きをされています。

3カ月に一度は模擬試験があり、生徒と保護者を対象に進路説明会も実施しています。常に受験を意識して高校生活を過ごす環境を作り、生徒だけでなく保護者にも進路について関心を持ち続けてもらうことが大事だとおっしゃっていました。

他にも、麻布大付属の生徒専用の横浜国立大学キャンパスツアーも用意されていたりと、大学進学ということに非常に積極的に動いているのがわかります。


「授業の麻布」で売っていく

もちろん、進路指導だけでは大学合格は出ません。麻布大付属高校の生徒の頑張りがあってこそのあの伸びです。今回の説明会では授業見学もさせていただいたのでそこで見た麻布大付属の生徒の様子などもお伝えしていきます。




全クラス同じような雰囲気

授業見学をしていて感じたのは、非常に落ち着いているということです。他の塾の先生方と10人弱の列になって各教室を移動しながら前からのぞいたり、後ろから見学したりするのですが、ソワソワする様子がまるでありません。


高校生なら当たり前だろうと言われればそうかもしれませんが、大体は何人かの男子生徒が後ろを振り向いて笑いあったりするものです。それが全くありません。見られるのに慣れているというのもあるかもしれません。

また、見学をしていてある違和感を感じました。もちろん良い意味での違和感です。上で紹介した通り、麻布大付属にはコースが3つ設置されています。2024年度の入学者(現高1)はS特進が1クラス、特進が3クラス、進学が5クラスです。

ですが、どの教室を覗いても同じ雰囲気で授業しています。言われなければどこがS特進で、どこが進学コースなのかわかりません。坪井先生もおっしゃっていました。「授業を始めると習熟度に差があるのはわかるが、態度や雰囲気ではどこのクラスなのかがわからない。」これが次に紹介するもう一つの特色にもつながっていきます。



クラスは毎年、学力順に入れかえる

先ほど紹介した3つのコースは、出願時、進級時に毎春改めて成績を加味しての入れ替えが行われるそうです。進学コースのクラスでも、翌年には特進クラスになっていることもある。

だから、各クラスの雰囲気が似ているというのもあるかもしれません。やはり習熟度別にした方が、学力は伸びやすいです。1年から2年への進級時には半数くらいが入れ替わるそうです。※3年進級時には10%ほどが入れ替え

中島 プロフィール_R
陸コーチ

中学校の内申にばらつきがあるのは間違えないと思っていたところ、お話をされていた坪井先生も同じようなことをおっしゃっていました。実力でクラス分けが行われるというのは学力を伸ばすうえですごくうれしいことだと思います。

また、このコースの入れ替えを可能にしているのが、カリキュラムです。S特進クラスというとものすごく速いスピードで授業が進んでいくと思われがちですが、3つのコース全てでカリキュラムの進度は同じだそうです。

では何が違うのか。それは、教える・学ぶ内容の深度学ぶ内容の深さ)でした。同じ単元を習っていても、習熟度が高いクラスではより高度な内容を学習するということです。



授業のコマが多い

坪井先生はお話しの中で「授業で育てる」と力強くおっしゃっていました。それは、麻布大付属の授業の多さにも表れています。比較のために同じく、淵野辺駅からの通学になる私立高校、桜美林高校(進学コース)の単位数を紹介します。




■麻布大附属高校

高校1年生 週38単位
高校2年生 週39単位(理系)
週39単位(文系)
高3年生 週35単位(理系)
週33単位(文系)

麻布大附属高校学校資料より


■桜美林高校

※選択科目の数字は含みません。


高校1年生 週34単位
高校2年生 週34単位(理系)
週33単位(文系)
高3年生 週24単位(理系)
週28単位(文系)

桜美林高校学校資料より


多いですね。週の時間割がびっしり埋まっているのがわかります。2年修了時には指導要領の内容はすべて学び終えているそうです。3年生から受験に向かって、より専門的に対策していくということでしょう。

ここまで授業が多いと、他校と比べて部活動などの課外活動に時間は少ないのではないか、と感じます。サッカー部はまだまだ強豪ですが、進学校へと歩みを進めている麻布大付属高校はどのような学校になっていくのでしょうか。



ICTをフル活用

各教室には当たり前に電子黒板があり、生徒はタブレットを持っていいます。坪井先生は探求型の学習に時間を使うためにICTを導入しているとおっしゃっていました。受験に向けての詰め込み教育だけで終わらず、課題を解決するための力を養う、いわゆるアクティブラーニングの時間を確保するために工夫もしているとのことでした。

麻布の特色と差別化

高校単独校

地域の他の高校と比較すると、中等部がないことも麻布大付属高校の特色です。「中高一貫校が増えている中で麻布に中等部がないことは強みだと捉えている」と、坪井先生が力強くおっしゃっていました。


坪井先生、とにかくアツい方でした。高校単独校だからこそ、全員がそろってスタートしカリキュラムをそろえて毎年習熟度に合わせてクラスを組み替えることができる。ここが他の学校との差別化でもある、と。

一貫教育という言葉をいろいろなところで耳にすることが増えましたが、麻布大付属高校は付属高校でありながら内部進学率も4.2%にとどまっています。高校入学時から通う生徒を3年間かけて育てて送り出す。ここに麻布大学付属の大きな特徴があります。

麻布大附属が、全員が高校入学時に初めて顔を合わせて3年間という限られた時間で成長していくという高校単独校であるというのも、学校中が同じように落ち着いた雰囲気に感じる理由かもしれません。



麻布大学へのの内部進学

麻布大学の獣医学部を目指すという子も、毎年一定数はいるそうです。大学から提示される条件をもとに出願し、推薦という形で選抜が行われるそうです。麻布大附属高校に入ったから難関である麻布大学の獣医学部に必ず行けるというわけではないので注意が必要です。



獣医学部以外への推薦枠もありますが、これまで見てきたように上位大学への進学を目指す流れができているため、希望者がいないという学部もあるそうです。



内申基準

最後に、麻布大学付属高校入学の内申基準についてです。。2022年度から2023年度入試にかけて、内申基準を2ポイントアップされました。2024年度の変更点としては、3年の1学期の成績を見てもらえるようになったという点です。公立高校が第一志望の人は、安心して公立入試の対策に集中することができます。(もちろん公立第一志望でも内申点は重要ですが。)

この数字は県内の内申点の平均値や入学者数の増減や行政からの指示などで毎年微調整されます。そのため単純な話ではないのですが、過去10年という少し長い期間で見ると、入学者の基準は確実に上がってきています。


https://www.azabu-univ-high-school.jp/admission/exam/



まとめ

ここまで紹介してきた通り、麻布大附属高校は進学校へと変わっていく変化の途中です。先ほど「熱い方」と紹介した坪井先生も、「変わり続けるのが新しい麻布、とにかく変化を起こして合わなかったらすぐにやめる柔軟さも持ちながら、100年学校を創造する。」とおっしゃっていました。

少子化が叫ばれる中で100年続く学校になるためには、常に変革していかなければいけない。

なかの生徒さんたちは“自称進学校”などと言っているかもしれません。しかし、これだけ手厚く学習指導、進路指導をしてもらえる環境は晴れて大学進学後に振り返ったとき、ありがたい環境だったと気づくはずです。これから数年後、麻布大附属高校が地域の中でどういった存在感を持つ学校になっていくのか、非常に楽しみです。

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